2019-02-16

脳細胞を元気にする 

人生改良計画 ③-1

妄想は時間の無駄


役に立たない思考、実行できない思考、自分を悲しませる思考、落ち込ませる思考、混乱させる思考など、思考にはいくらでもあります。これらをまとめて、妄想といいます。データに支えられていないから妄想というのです。


たとえば「自分はダメな人間だ」と思っている人がいるとしましょう。なぜ「ダメだ」と考えるのでしょうか?
何かをやってそれがうまくいかなかった。それで、私はダメだと考えるからです。

でも、その「ダメ」というのはその人のすべてでしょうか?

何か失敗したといっても、それは長い人生のなかの、ある一つの出来事にすぎません。それに、自分がやることはなんでも成功するのでしょうか? 私たちはいろんなことにチャレンジしますが、実際に成功するのは千分の一、いや一万分の一ぐらいではないでしょうか。

なのに、ある一つの失敗だけを見て、「自分はダメだ」とすべてを否定して悩むのです。ですから、いかにこの思考が屁理屈で非合理的な思考かということがお分かりになるでしょう。

現実的に考えるなら、「これをやりましたが失敗しました。次にこれをやったらまあまあで、これがまたダメで、これはなんとかうまくいきました。でも次はまたダメで……」と、この連続なのです。

たとえば、仕事で大きなミスをしたとしましょう。たいていの人は「大変だ。取り返しのつかないことをやってしまった。やばい、どうしよう」とあれこれ悩んで混乱します。これでは落ち着いて問題に対処することなどできません。大騒ぎして何の役に立つでしょうか。

そこで、論理的にこう考えてみるのです。もしその問題が解決できるものなら、心を落ち着けて、解決できるよう努力すればいいでしょうし、もし解決できないものなら、「この仕事はうまくいかなかった。今はもうどうすることもできません。では、次の仕事にいきます」と瞬時に頭を切り替えて、次の仕事をしっかりやればよいのです。

このように、余計なことを考えずに、自分はダメだと妄想せずに、事実のところできれいにストップするなら、心は混乱しませんし、時間もずいぶん残るのです。思考を極力ケチると、ものすごく時間が残るのです。

「忙しい、時間がない」という人は、なぜ時間がないのかというと、たいてい妄想ばかりして時間を無駄に使っているからです。

たとえば、「あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃ。毎日、掃除と洗濯と料理だけで一日が終わってしまう」と、不平ばかりこぼしている家庭の奥さんは、なぜそんなに忙しいかというと、四六時中、無駄な妄想をしているからです。そのため、一つのことにあまりにも時間がかかってしまうのです。何も妄想せずに淡々と料理を作るのと、あれこれ妄想しながら作るのとでは、どちらが早いでしょうか? 当然、妄想しない方です。


『人生改良計画』スマナサーラ長老法話(文責:出村佳子)


どんな人でもスピーディに手際よく物事をやりたいでしょう。妄想さえしなければ、ものすごいスピードが生まれてきます。無駄が消え、仕事が早く進むのです。

そこで考えてみましょう。なぜ私たちは無駄なことをするのでしょうか? なぜ失敗するのでしょうか? なぜやり直しになるのでしょうか? なぜ一回できちんとできないのでしょうか?

すべて妄想のせいなのです。たとえば、ある会社に長年勤務している50歳の男性が、会社の改良のため、今まで一度もやったことのない仕事の分野にまわされたとしましょう。そうすると、はじめての仕事ですから、当然、何一つ分かりません。それでも今までの仕事の経験がありますから、たとえ仕事の内容が違っても、少々頑張れば一週間ぐらいで慣れるはずなのです。

しかし、そうはなりません。妄想して、前の仕事に戻りたいとか、こんな歳になってなんで新しい仕事を憶えなくてはいけないのかとか、もとの部署に戻りたいとか、あれこれ妄想します。

ですから一週間で憶えられる仕事が、何か月間もかかるのです。新しい仕事に適応できなければ、会社はいい顔をしません。だんだんお荷物扱いするようになるでしょう。
(続きます)

スマナサーラ長老

根本仏教講義『人生改良計画③』文責:出村佳子