心にとって何が〈栄養〉になり、何が〈害〉になるのか?
心に何を摂り入れ、何を避けるべきか?
生き方を、みずから清らかに創造していく智慧
私たちが毎日食べている食べ物には、身体を健康にする栄養もあれば、健康を害し、病気を招く食べ物もあります。
心も同じです。心を育て、幸せにする栄養もあれば、心を害し、苦しみをもたらす毒もあるのです。
そこで、「何を摂り、何を摂らないか」「何を食べ、何を食べないか」ということが重要になります。
ブッダが教えた「心に摂り入れるべき栄養」を理解することで、私たちは自分の生き方を清らかに創造していくことができるのです。
(本文より)
※本書は、2020年8月18日にカナダのオタワで開催された、チャンディマ・ガンゴダウィラ長老による法話の日本語訳です。
初出は『Patipadā』誌。2021年4月号から12月号まで9か月間にわたって翻訳連載した「五蓋・七覚支の栄養(āhāra)と如理作意(ヨーニソーマナシカーラ)│身経」をわかりやすく再構成するとともに、新たな章を加えて出版したものです。
■ 目 次
はじめに 生命を維持する栄養
第1章 「からだの栄養」と「こころの栄養」
第2章 「避けるべき食」と「摂るべき食」
生命を支える4つの食とは?
①欲(貪欲)
ありのままに見る如理作意
②怒り(瞋恚)
③沈うつ・眠気(惛沈睡眠)
④浮つき・後悔(掉挙悪作)
⑤迷い(疑)
五蓋のまとめ
①気づき(念覚支)
気づきの栄養
ありのままに見る如理作意
②区別して調べる(択法覚支)
③努力(精進覚支)
◎始める努力――起動
◎続ける努力――精勤
◎乗り越える努力――勇猛
④充実した喜び(喜覚支)
⑤心と身体の安らぎ(軽安覚支)
⑥心の統一(定覚支)
⑦とらわれのない平静さ(捨覚支)
七覚支のまとめ
心が沈み、怠惰なとき
心が浮つき、後悔しているとき
バランスファクターは「気づき」
第6章 害をもたらす感情「五蓋」の対処法
五蓋のたとえ
①「欲」は借金返済の苦しみのようなもの
②「瞋恚」は病気を患っているようなもの
③「惛沈睡眠」は牢獄に囚われているようなもの
④「掉挙悪作」は奴隷のようなもの
⑤「疑」は砂漠で迷っているようなもの
チェックリストとして心にとどめる
「忍耐」と「気づき」
害をもたらす感情(五蓋)に対処するには?
おわりに:こころの栄養――ありのままに見る如理作意
【付録】Kāya Sutta「身経」
■ 著者紹介
チャンディマ・ガンゴダウィラ長老
Ven. Dr. Chandima Gangodawila
12歳のとき出家。スリランカの国立スリジャヤワルダナプラ大学で、学士号(優等学位)を取得。最優秀賞受賞。博士号を取得。
カナダに渡り、ブリティッシュコロンビア大学で4年間、仏教チャプレンを務め、ヴィクトリア大学にて教鞭を執る。現在、カナダのオタワに在住。Paṭisotaの長老としてカナダを中心にイギリス、アメリカ、マレーシア、タイ、インド、スリランカの大学や寺院で、講演や法話をおこなう。日本でもオンライン法話会を開催。
◎ブログ:Paṭisota▸https://patisota.blogspot.com
◎法 話:Youtube Channel▸https://www.youtube.com/patisota
◎オンライン法話会&書籍▸https://sukhi-hotu.blogspot.com/2019/07/ven-chandima.html