二.勘定の仕方
三.正しい見積書と誤算
四.損を避ける方法
五.倒産しないための秘訣
まず、物です。これは皆さん日常生活の中で普通にやっていることでしょう。たとえば電化製品を買うなら「A店よりB店の方が安くてサービスがいいからB店で買おう」とか、海外旅行に行くなら「正月は旅費が高いからオフシーズンに行こう」というように、物やお金の損得を勘定することです。これはやらなければ損をします。
次に知識と情報です。間違った情報や不必要な知識を入れると、人は堕落します。現代社会では、テレビ、新聞、ラジオ、インターネットなどを通して、誰でも簡単に情報を入手することが可能になりました。しかしその膨大な情報を、何の勘定もせずにそのまま鵜呑みにするのは大変危険なことです。マスコミはありのままの事実を客観的に報道するのではなく、政治的、経済的意図に影響されて、極端に歪曲したデータを流したり、一部の情報をカットすることもあるからです。だからといってマスコミだけが悪いわけではありません。情報を受ける私たちも悪いのです。つまり外から入ってきた情報を無批判で受け入れるという、無知で怠慢な私たちの態度にも問題があるということです。
そこでお釈迦さまは「各自が、入ってくる情報を正しく勘定しなさい」と教えられました。自分の目や耳に入ってくる情報は「正しいものか、正しくないものか」「真面目に考慮すべきものか、無視すべきものか」を見分けなさいと。自分にとって有害な情報は受け入れないようにし、有益な情報なら取り入れて、よく学ぶことが大切なのです。
知識についても、何でも知ればいいというわけではありません。知ってはいけない知識もあります。仏教では、毒や武器を製造したり商売にする知識は断固として禁止しています。なぜなら、この種の知識は人の精神をおかしくさせ、他人も自分も害することになりますから。
次に、人間関係です。仏教では人間関係について厳しく言っています。人とつきあうとき、相手は誰でもいいというわけではありません。相手が道徳を守らない愚か者だったら、その人とは距離を置いてつきあうか、離れた方がいいでしょう。なぜなら愚か者と親しくすると、簡単に自分も堕落してしまうからです。他方、智慧があって道徳的な人とは、しっかり仲良くすべきです。
世の中には「私は人づきあいが広い」とか「友だちが大勢いる」と自慢している人がいますが、重要なのはつきあう人の数の多さではなく、相手がどのような人かということです。道徳的で立派な人がいるなら、つきあう人はその人一人で十分なのです。
最後は、人格の向上・進化です。私たちは日々の生活の中で「善い人間になる」ように常に心を向上させ、進化させなくてはなりません。そのためには「これをやると進化する」「これをやると退化する」というように、自分の行動を勘定しなければならないのです。その基本となるものが道徳です。道徳を守ると人格はどんどん向上しますし、守らなければ堕落していきます。
それから、真理を知ると人は進化して悟れるのです。最終的に私たちは、悟りを得るところまで勘定しなくてはならないのです。
2、人間関係
3、知識・情報
4、人格の向上・進化(道徳と真理)
2、人間関係
3、知識・情報
4、物
得ること・与えること
次に、「勘定の仕方」について勉強してみましょう。これは次の五つのタイプに分けられます。
2、得るために与える
3、得られるなら与える
4、要らないから与える
5、与える
一番目の「得たから与える」というのは、人に何か貰ったからお返しします、という世間任せ的な生き方です。これは周りの人がいつでも自分のことを心配して、必要なものを与えてくれなければなりませんから、そういう人がいない社会では生活できないということになります。
二番目の「得るために与える」というのは狡賢いでしょうし、三番目の「得られるなら与える」は態度が大きい。四番目の「要らないから与える」は、世界をゴミ箱のように思っているのです。
与えてから得る
文:出村佳子
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