2022/06/08

人から利得・称賛・尊敬を期待する⑥-10

 ちょっとしたことで怖がる人「ほんものの恐怖とは?⑥-9」の続き

 

lābhasakkārasilokaṃ nikāmayamānā
他人から利得・称賛・尊敬されることを期待する


出家修行者たちは世間の尊敬を受けます。俗世間の立場から見れば、さまざまな欲から離れて生活するのはすごいことだと思い、頭を下げます。俗世間では、他人に褒め称えてもらうのはとても難しいことです。皆に褒められている人の数は少ないのです。


そこで、人類の役に立つことを何一つせず、ただ世間から褒めてもらいたい、という病気だけがあり、仕事をして苦労する気持ちはないが、贅沢に暮らせる収入を社会から得たい、という妄想のある人がいるとしましょう。

その人は、「出家すれば自分の目的に簡単に達することができる」と思ってしまうのです。

しかし、出家してみたら、期待通りに褒め称えられることも、お布施をもらうこともないことに気づきます。

出家社会では、業の働きは明確に見えます。

ある出家は十分お布施をもらうし、ある出家はやっと生きられる程度です。

在家の尊敬と信頼を受ける場合も同じです。ある出家は世間によく認められて、たくさんの人を指導します。

ある出家者には誰も指導を受けようとしません。

称賛や利得、尊敬を期待するという病を持つ出家は、期待はずれに落ち込みます。

それから、恐怖感に襲われるのです。

(続きます)


・・・・・・・・・・

【目 次】ほんものの恐怖とは?
スマナサーラ長老 法話「ほんものの恐怖とは?」
文:出村佳子
・・・・・・・・・・


生きとし生けるものが幸せでありますように


【根本仏教講義】ほんものの恐怖とは?スマナサーラ長老