世の中には「聞く自由」がありません。
小さい頃から、周りが言うことは必ず聞かなくてはいけないことになっているのです。
大人になっても、周りの話を聞く義務があります。
「聞くか聞かないかはわたしの自由だ」という立場は成り立ちません。
むかしは特に宗教の信仰が強かったため、宗教家が何かを言ったら、それがよいことであれ悪いことであれ、その通りに信じなくてはなりませんでした。
「私の話を聞きなさい。疑問を持ってはいけない。それこそ神にたいする冒涜だ」と言われ、人には聞く自由がありませんでした。搾取され、苦しんできたのです。
ですから、聞く自由とか言論の自由というのは、かなり命がけで得たものなのです。
自分の言いたいことが言えるならば、それが言論の自由ということになります。
今はネット時代になりましたから、誰でも自分の言いたいことを発言することができます。
今回は聞くことがテーマですが、聞くだけでは成り立ちません。
誰かが話さないと聞けませんから、2つのことがなければなりません。
「話す」ことと「聞く」ことです。
ですから「聞き上手」だけを教えても偏っています。
「話し上手」になることも必要なのです。
(続きます)
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スマナサーラ長老 法話「ブッダの聞き上手入門」
編集:出村佳子
根本仏教講義【目 次】
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生きとし生けるものが幸せでありますように