2022/01/25

他と自分の死④-2

死を認識できない「ほんものの恐怖とは?④-1の続き


死を理解できませんが、変化していることなら、ある程度はわかります。

変化の過程を観察するならば、死という概念を理解することができるのです。


ここで問題としているのは、「他人が死んだことがわからない」ということではありません。

自分以外の生命(現象)の死はわかりますが、それにたいする態度は様々です。

親しい生命の死は、なにか間違いが起きたような、あってはならないことがあったような感情を引き起こします。

ゴキブリ、蚊、害虫などの死ならば喜びます。

カツオ、サンマ、ニワトリの死は、当然起こるべきことなのです。

そのような態度なら、他の死を理解しているとは言えません。

【根本仏教講義】ほんものの恐怖とは?スマナサーラ長老


にとって一番大事なことは、自分の死を知るとです。

自分の死を知ることで、心が汚れなくなるのです。

心が安穏になるのです。


問題は、他の死さえ自分の主観で、自分の都合で観察しているから、自分自身の死を観ることはできない、という事実です。

それだけではなく、「私は死なない」という幻覚を前提にして、人生の計画を立てているのです。

それで、自分の死を認めると何もできなくなるのです。


自分の死を知るとは、その人に智慧がある、ということです。

自分の死を、俗世間のレベルで理解することはできません。

(続きます)

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【目 次】ほんものの恐怖とは?

スマナサーラ長老 法話「ほんものの恐怖とは?」
文:出村佳子

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生きとし生けるものが幸せでありますように