byāpannacittā paduṭṭhamanasaṅkappā
異常な怒りがあり、常に不機嫌な気持ちでいる
異常な怒りとは、余計なことを妄想して怒りを抱くことです。
蚊に刺されてイヤな気持ちになることも怒りですが、異常な怒りではありません。
痛みは、妄想の結果ではないからです。
しかし、この世の中には何にたいしても文句を言う人がいます。
たとえば、上司は新入社員を厳しく指導します。
でも新入社員は上司の指導どおりに自分の能力を上げようとせず、上司にたいして怒りを抱きます。
上司が悪い、部下が悪い、親が悪い、学校が悪い、会社が悪い、社会が悪い、世界が悪いなど、いくらでも怒りの妄想はできます。
これが異常な怒りです。
また、「みんな私の悪口を言っている」「みんな私を批判している」「みんな私をバカにしている」と妄想する人もいます。
このような人は当然、恐怖感に襲われるのです。
また、家族が悪いとか社会が悪いなどの怒りを抱き、社会から逃避する目的で出家を求める人もいます。
「すべてが嫌になったから出家させてください」と頼むのです。
出家を授ける長老たちも、「この人には欲がなさそうだ」と勘違いして出家を認めることもあります。
しかし、よく聞いてみると、その人の心には「心を清らかにしたい」「人格を向上させたい」「無執着の道を実践したい」などの気持ちはまったくないのです。
心にあるのは怒りだけです。それも異常な怒りです。
それで、出家してみたら生活は厳しい。森に住むことは厳しいのです。
それで、なんでもかんでも自分を攻撃しているように感じます。
その場合は、わずかな出来事が起きても恐怖感に襲われてしまうのです。
(続きます)
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【目 次】ほんものの恐怖とは?
スマナサーラ長老 法話「ほんものの恐怖とは?」
文:出村佳子
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生きとし生けるものが幸せでありますように