法話を上手に聴く順番「ブッダの聞き上手入門 ⑤-2からの続き
② 付き合う
③ 耳を傾ける
④ 法を聞く
⑤ 聞いた法を憶えておく
⑥ 憶えた法の意味を調べて、観察してみる
⑦ 意味を観察すると、法について納得する
⑧ 納得すると、意欲が起こる
⑨ 意欲が起きたら、精進する
⑩ やってみて、精進して、比較してみる
⑪ tulayitvā padahati,
データをチェックして、さらに精進する
このデータはどうですかと心をチェックして、「貪瞋痴がまだある」とわかったら、さらに精進します。
それでまたデータをとります。「欲と怒りはある程度減った気がする。でも消えていない。まだまだだ。では精進します」と、そんな感じで一人で進んでみるのです。
⑫ pahitatto samāno kāyena ceva paramasaccaṃ sacchikaroti,
このように精進すると、自分自身で、自分の経験で、最高の真理を発見する
お釈迦様の教えを丸呑みしたわけではありません。自分自身で真理を発見するのです。
修行者は心の汚れをチェックして進みますから、やがてチェックする汚れが見当たらなくなります。
それでも、「潜在煩悩があるかもしれない」と考えて精進します。
そうすると、お釈迦様が教える真理を自分自身で発見するのです。解脱に達するのです。
⑬ paññāya ca naṃ ativijjha passati.
鋭い智慧が現れる
智慧で真理を貫いて理解します。
解脱に達する瞬間、主体と客体の差が消えます。
「自分」という気持ちも完全に消えます。
俗世間の対象を認識することも消えます。
一切の概念を超えた涅槃を経験する瞬間なのです。
その瞬間が終わってから、「自分は解脱に達した」という経験が生じます。
これは概念の範囲です。「鋭い智慧で理解する」とはこの意味なのです。
まず解脱に達する。それから解脱に達したと知る。
一番目は解脱です。二番目は鋭い智慧であって解脱ではありません。
聞き上手というタイトルですが、今回説明したのはブッダの解脱プログラムの話です。
俗世間のさまざまな勉強の場合も、このプログラムで進んだほうがよいでしょう。
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② 付き合う
③ 耳を傾ける
④ 法を聞く
⑤ 聞いた法を憶えておく
⑥ 憶えた法の意味を調べて、観察してみる
⑦ 意味を観察すると、法について納得する
⑧ 納得すると、意欲が起こる
⑨ 意欲が起きたら、精進する
⑩ やってみて、精進して、比較してみる
中部経典70(Kītāgiri sutta)
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(了)
生きとし生けるものが幸せでありますように
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スマナサーラ長老 法話「ブッダの「聞き上手」入門」
文:出村佳子
根本仏教講義〔目 次〕
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