2023/07/23

欲と不満「問題をつくるのは誰か?④」


問題の原因がわからない「問題をつくるのは誰か?③」からの続き


満足を知らない現代人


現代人は、忙しい生活を送っているため、心を「善」のほうに育てたり、やすらぎを育てたりするための時間があまりありません。


食べ物や住居、衣服など、必要なものは十分得ているにもかかわらず、そのあいだもずっと、心の幸福を犠牲にしながら、「どうすればお金がもっと儲かるのか」「どうすればもっと楽しみが得られるのか」といったことを追い求めているのです。


そして何か問題にぶつかったときには、いらだち、不平不満を言い、苦しみを増大させます。


さらには「この問題が起きたは〇〇のせいだ」と言い、問題を他人のせいにするのです。




先進国の人は、開発途上国の人よりも、多くの問題aや不満、精神的な障がいを抱えているようです。


なぜでしょうか? 


それは、道徳を守ったり、心を育てたりしようとせず、世の中の楽しみや欲の奴隷になっているからです。


そこから生まれてくる緊張や恐怖、心配、不安などが、心を煩わせています。

この精神的な不安定が、心をかき乱しているのです。


こうした状況は、多くの国で大きな問題になっています。


産業社会では、人は生活に満足することを学んでいませんから、人生にたいして不満が生じるのです。


競争社会が生みだす不安



また、自信を失い、人生で何をすればよいのか決められない若者たちが大勢います。



この問題の最大の原因は、競争や嫉妬、恐怖から引き起こされる過剰な野望と不安感です。



言うまでもなく、このような問題は、穏やかな生活を送ることを望んでいる他の人にも悪い影響を与えます。


だれか一人の個人が問題を起こすと、それは周りの人の幸せに悪い影響を与えます。

どんな社会でも、善は善の影響を与え、悪は悪の影響を与えるものなのです。


問題を取り除くための近道はありません。


ですから、起きている問題の原因を見いだし、みずからの生き方を改善していく必要があるのです。


問題がまったくないという人はいません。


もし本当に心を解放させたいなら、自分の問題を調べて、「問題に悩まされているのはなぜか」を理解することが大切です。
               

未開発の保守的な国では、何か問題が起きたら、人はすぐ「誰かや何かが黒魔術をかけて、自分たちの平和な生活を壊している」と言います。


このような人は、自分の弱さを認める準備ができていません。


「不幸の原因は自分にあるかもしれない」とか「自分が起こした問題の責任は自分でとらなければならない」などと考えることができないのです。


無知に覆われているため、霊能者や誰かにお願いし、(ありもしない)目に見えない存在の力を呼び起こしてもらい、問題を解決してくれるように頼むのです。


しかし、このような行為は無知が増大するばかりで、問題を解決することはできません。

(続きます)


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問題をつくるのは誰か? ➤ 目 次

Ven. Dr. K. スリダンマーナンダ長老〔著〕

出村佳子〔訳〕

"Who creates problems?" by Ven. Dr. K. Sri Dhammananda Thero

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