欲と不満「問題をつくるのは誰か?④」からの続き
家族の問題
人がいつでも不満に思っている共通の問題のひとつに、結婚生活や家族についての問題があります。
既婚者だけでなく、未婚者も、「ひとりではさびしい」「パートナーがいない人生はつまらない」などと不満をこぼしています。
でも、結婚して何か問題にぶつかったときには、別の不平を言い始めるのです。
家庭を持っている人は、「家族をどうやって養っていくか、守っていくか」など家族に関するさまざまな問題を抱えています。
一生懸命はたらいて、家族を養わなければなりません。
子供がいる夫婦は、子供の教育について心配し、子供を育てていかなければなりません。
こうした家族の問題に対処できなければ、悩みはさらに増えるでしょう。
家族の中で誤解や行き違いが起こると、人生はさらにみじめになります。ときどき暴力や流血、自殺なども起こるほどです。
子供が多い家庭では、多くの責任と悩みに直面するでしょうし、子供のいない夫婦は、別の悩みを抱えているものです。
この世の中のどこに、「満足」というものがあるのでしょうか?
今日、人は多くの収入を必要としています。
それは、生活のためや義務を果たすためだけではなく、さまざまな娯楽が増え、自分の欲望を満たすためにお金が必要だからです。(これは一種の競争になっています)
悩 み
また、自分の将来について悩み、さらに悩むことを楽しんでいる人もいます。
病気や老い、死を心配し、自分の葬式についても心配しています。
さらには、天国にいくか地獄にいくかと死後のことまで心配するのです。
日常生活の中ではいつでも不満を経験しています。そして、あちこちに走りまわり、不満を解消する方法を探し求めるのです。
生涯をとおして、幸福ややすらぎを探し続けています。これが死ぬまで続くのです。
でも、本当の解決策は決して見つかりません。
人は「歳をとった」と考えて悩みます。
「欲しいものが得られない」と言って悩みます。
持っているものをなくしたり、親しい人が離れていったりすると、悩みます。
いらだち、悲しみ、混乱して苦しむのです。
多くの人は、存在(生)の本質である「苦」や「無常」を知ることも経験することもなく、ただ生きています。
でも、「生」は常に変化しているのです。
「生きる」とは諸要素とエネルギーの集まりであり、常に変化し続けているのです。
ですから、状況はいつでも私たちが満足するようにはいかないのです。
「人生がうまくいっていない」と感じるときもあるでしょう。
諸要素やエネルギーのバランスがとれていないと、不安や病気、痛み、さまざまな問題が生じてきます。
心のエネルギーが妨げられると、精神的に問題が起こるのです。
その後、身体の臓器や腺がうまく機能しなくなり、血液の循環、心臓、脳細胞にも影響を及ぼすのです。
そこで、私たちが「自然」に逆らわず、身体をつくっている「自然」と調和を保ちながら生活するならば、こうした問題の多くを避けることができるでしょう。
(続きます)
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出村佳子〔訳〕
"Who creates problems?" by Ven. Dr. K. Sri Dhammananda Thero
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