2023/07/30

なぜ満たされないのか? 家族の問題/悩み「問題をつくるのは誰か?⑤」

 

欲と不満「問題をつくるのは誰か?④」からの続き


家族の問題


人がいつでも不満に思っている共通の問題のひとつに、結婚生活や家族についての問題があります。

既婚者だけでなく、未婚者も、「ひとりではさびしい」「パートナーがいない人生はつまらない」などと不満をこぼしています。

でも、結婚して何か問題にぶつかったときには、別の不平を言い始めるのです。



家庭を持っている人は、「家族をどうやって養っていくか、守っていくか」など家族に関するさまざまな問題を抱えています。

一生懸命はたらいて、家族を養わなければなりません。

子供がいる夫婦は、子供の教育について心配し、子供を育てていかなければなりません。

こうした家族の問題に対処できなければ、悩みはさらに増えるでしょう。


家族の中で誤解や行き違いが起こると、人生はさらにみじめになります。ときどき暴力や流血、自殺なども起こるほどです。


子供が多い家庭では、多くの責任と悩みに直面するでしょうし、子供のいない夫婦は、別の悩みを抱えているものです。



この世の中のどこに、「満足」というものがあるのでしょうか?


今日、人は多くの収入を必要としています。

それは、生活のためや義務を果たすためだけではなく、さまざまな娯楽が増え、自分の欲望を満たすためにお金が必要だからです。(これは一種の競争になっています)


悩 み


私たちは、義務や責任を果たすことよりも、楽しみを得ることに心を奪われています。

また、自分の将来について悩み、さらに悩むことを楽しんでいる人もいます。

病気や老い、死を心配し、自分の葬式についても心配しています。

さらには、天国にいくか地獄にいくかと死後のことまで心配するのです。


日常生活の中ではいつでも不満を経験しています。そして、あちこちに走りまわり、不満を解消する方法を探し求めるのです。


生涯をとおして、幸福ややすらぎを探し続けています。これが死ぬまで続くのです。


でも、本当の解決策は決して見つかりません。


人は「歳をとった」と考えて悩みます。

「欲しいものが得られない」と言って悩みます。

持っているものをなくしたり、親しい人が離れていったりすると、悩みます。

いらだち、悲しみ、混乱して苦しむのです。


多くの人は、存在(生)の本質である「苦」や「無常」を知ることも経験することもなく、ただ生きています。


でも、「生」は常に変化しているのです。


「生きる」とは諸要素とエネルギーの集まりであり、常に変化し続けているのです。


ですから、状況はいつでも私たちが満足するようにはいかないのです。


「人生がうまくいっていない」と感じるときもあるでしょう。

諸要素やエネルギーのバランスがとれていないと、不安や病気、痛み、さまざまな問題が生じてきます。

心のエネルギーが妨げられると、精神的に問題が起こるのです。


その後、身体の臓器や腺がうまく機能しなくなり、血液の循環、心臓、脳細胞にも影響を及ぼすのです。


そこで、私たちが「自然」に逆らわず、身体をつくっている「自然」と調和を保ちながら生活するならば、こうした問題の多くを避けることができるでしょう。



(続きます)


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問題をつくるのは誰か? ➤ 目 次

Ven. Dr. K. スリダンマーナンダ長老〔著〕

出村佳子〔訳〕

"Who creates problems?" by Ven. Dr. K. Sri Dhammananda Thero

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