女性が得た真の自由「仏教から見る女性⑦」から続きます。
自由と平等へ向けて
ブッダの時代から幾世紀も経た19世紀~20世紀、女性の解放と自由・平等を求める動きが、特に欧米諸国で活発に起こりました。
これは女性たちが高い教育を受けたことの結果です。
1848年、アメリカでスーザン・B・アントニー(Susan B. Anthony)が先頭に立ち、女性平等を訴える旗を掲げました。
それ以来、世界の至るところで、有能で指導力のある多くの女性先駆者や組織による女性運動と奮闘が着実に進められました。
「国を愛する男性とともに、女性も良い社会や国を築くことで世界の発展に貢献する役割がある」と考えたのです。
1848年以来、世界の至るところで、女性は教育の機会均等、政治的権利の平等、経済の平等を獲得するために、無数の大衆運動を起こしています。
西洋諸国では産業革命や博愛運動、女性平等運動が、女性の地位を向上させました。
それほど産業的な進歩がなかったアジアやその他の国々では、強力な宗教を背景に持つ改革者によって女性の状況の改善が行われました。
ここ50~60年のあいだに、政治や経済、社会の分野への女性の参加が着実に増加しています。
20世紀の女性たちが収めた成功は驚異的なものだと評することができるでしょう。
多くの女性たちが、社会科学やビジネス、経済、政治など、さまざまな領域で成果を上げ、政治の最高位である大統領の地位にまで就任した女性たちも現れました。
しかし他方では、皮肉なことに、今日でもまだ女性に投票権が与えられていない国々もあるのです。
女性の地位向上に関する国際的な動きは、第一次世界大戦後に、国際連盟が小規模に取り組み始めたのが最初です。
その後、国連憲章はすべての女性の自由と平等の原則を認めました。
国連機構の一つである女性の地位委員会は、性差別の問題を検証し、女性の参政権、同一労働・同一賃金の原則、慣習法における女性の地位、既婚女性の国籍、教育的・経済的な機会均等、技術の援助および参加についての問題を審議しました。
国連の支持を受けた婦人参政権論者と国際的な諸組織は、社会、経済、政治の分野に多数の女性たちが参加できるように多くのことを成し遂げてきました。
ですが重要なことは、「女性が真の自由を獲得する」という課題はいまだに達成されていないということに気づくことです。
真の自由とは、あらゆる形の束縛から解き放たれることです。
自己の心を正しく成長させ清らかにするときにのみ、それを達成することができるのです。
つまり貪瞋痴の汚れを完全に取り除き、心を清浄にすることです。
公開討論やデモ行進、国連憲章などのいかなるものによっても、真の自由はもたらされません。
唯一、ブッダが説かれた瞑想を徹底的に実践すること、その努力と注意力だけが真の自由へと女性を導くことができるのです。
ブッダは、女性の幸福と利益を促進した世界で初めての女性解放者であり、平等主義者であるとして尊敬することができるでしょう。
(了)
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出村佳子(訳)
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生きとし生けるものが幸せでありますように