2013/09/01

道徳と集中



道徳や戒律を守りながら瞑想すると、欲や怒り、無知がだんだん弱まっていくことが、経験としてわかるでしょう。

瞑想が進むにつれ、道徳を守ることのメリットが理解できるのです。



『マインドフルネスを越えて』バンテ・グナラタナ著/出村佳子訳


これが理解できると、自分を高く評価することも、他人を軽んじることもなくなります。気づきや慈しみ、喜び、落ち着きなど、謙虚で、公平で、清らかな心のほうが、不純で汚れた、偏見のある、落ち着きのない、騒々しい心よりも、集中力を簡単に育てられる、ということが理解できるのです。


マインドフルネスを越えて集中と気づきの正しい実践』バンテ・H・グナラタナ(著)より



2013/08/30

スリダンマーナンダ長老、7回忌


スリダンマーナンダ長老
Buddhist Maha Vihara, Malaysia

悪をやめ、善に達し、心を清らかにすること、
これが諸仏の教えである

"Sabba papassa akaranam 
Kusalassa upasampadha 
Sachitta pariyodapanam 
Etam buddhanu sasanam"


スリ・ダンマーナンダ長老が亡くなられて、7年がたちます。長老が住職を務めていたマレーシアのお寺では、徳を積む行為を行ない、回向する法要が、盛大に行なわれてます。


生きとし生けるものが幸せでありますように

2013/08/18

生 命

K. スリダンマーナンダ長老     
質 問
誰かに踏まれて死にかかっているアリがいます。どうすればいいでしょうか? もしそのままにしておけば、アリは苦しみ続けます。殺せば、もう苦しまなくてすみます。人に踏まれて苦しんでいるアリにたいして、どうすればよいでしょうか?
答 え
仏教は、「いかなる生命も殺してはならない」と教えています。
世の中には、安楽死という考え方がありますが、仏教は支持しません。苦しみを終わらせるために今生の命を終わらせることは答えではないのです。生命は来世においても業の結果を受けなければならないのですから。苦しみが延びるだけであり、苦しみは続いていくのです。

生命は最終的な解脱である涅槃(Nibbhaana)に達するまで、生まれては死に、さまざまな生涯を経て輪廻転生をします。もし生命が苦しんでいるのを見たら、苦しみを和らげるように最善を尽くすようにしてください。

もし苦しみを和らげることができない状況にあるなら、そのときは、その生命が負っている苦しみにたいして自分に責任があるわけではないのだから、悪い業をつくることにはなりません。

私たちにできることは、その生命の苦しみを和らげるように努力することだけです。もし和らげることができる状況でなければ、前にすすんでください。

ホスピスに行くと、多くの末期患者の方々に出会います。ガンや麻痺、エイズなど重大な病気で苦しんでいるのを見ると、いとも簡単に後悔や無力感、苦しみの巨大さにひどく落胆するものです。

でも、自分に何ができるのか、仲間のあいだで何ができるのか、ということに目を向けなければなりません。たとえすべての人を助けることができなくても、無力さに負けないようにしてください。苦しんでいる生命を積極的に助けようとすることは大事なことです。無力感に負けることは、自分にも他人にも善いことではないのです。