2021/10/20

想定外 ほんものの恐怖とは?②-2

 ほんものの恐怖とは?②-1 の続き

想定外

次のポイントは、想定外ということです。
先が読めないのに、私たちはそれを認めたくありません。皆さまが占い師のところに行くのは、将来のことを知りたいからです

私たちは自分の都合に合わせていろいろ想定します。
飛行機に乗るときは、無事に着陸できるということを想定しています。途中で墜落するかもしれないということは考えません。みんな気持ちよく飛行機に乗りますが、乗るということは、飛行機は墜落しないという想定があるからです。

でも、その想定ってどういうことでしょうか?

自然の法則に関係ないことです。高度が上がっている途中で、鳥が飛んできて飛行機のエンジンに挟まったらどうしますか? 

このように、ほんのちょっとのことで状況が変わってしまうのです。そういうものが法則です。

私たちは法則と関係なく、想定するのです。個人の主観的な想定は、普遍的な法則に関係がありません。


【根本仏教講義】ほんものの恐怖とは?③スマナサーラ長老


普遍的な法則を仏教用語で、ダンマニヤーマと言います。ダンマというのは世の中の法則です。法則は変わりません。法則だけは、一定しているのです。

たとえば地球の自転は、ある程度一定しています。しかし、必ずしもその通りということは言いづらいのです。過去をずっと調べてみても、一定に自転しているということは言えます。では、これからも、百万年後も、一億年後も、地球は同じように自転しているということは言えるでしょうか?


条件が変わるとどうなるかわかりません。

しかし、法則はそのままあります。法則は変わりません。

ですから人は勝手にいろいろなことを想定しますが、それは意味がないことなのです。

目の前で現象が変化して流れるとき、主観的な想定が壊れます。私たちは毎日これを経験しています。想定していなかったとか、想定外でしたとか、想定していなかったことが毎日起こるのです。それで不安になり、イライラします。

出張で新幹線に乗っているとき、強風が吹いて線路に何かが落ちたとしましょう。新幹線が動けなくなり、線路上で止まります。隣の駅まで歩いていける距離ではありません。それまでは「この時間に目的地に到着するだろう」と想定して安心していました。想定外のことが起きたことで、心はイライラし、恐怖感が出てくるのです。

私たちの心はこの状態を処理しない、処理できないため、恐怖に襲われます。想定していたことと違うことが起きると、どうすればいいのか、心はわからないのです。

(続きます)

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スマナサーラ長老 法話「ほんものの恐怖とは?」
文:出村佳子
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生きとし生けるものが幸せでありますように