なぜ人は話すことが好きなのか?「ブッダの聞き上手入門 ①-2」からの続き
日本ではあまりやらないんですが、話している人の顔を真剣に見て目を合わせてみてください。そうすると、話は早く終わります。
これは無意識の働きで、目を見ていると自分の心の波長が、相手の心の底に入るのです。
日本人はあまり目を合わせませんが、それは欧米的には失礼な態度です。相手をまったく信頼していないということなのです。
ストレスが溜まって喋っている人の言葉の意味を理解する必要はありませんし、真剣に考える必要もありません。
そうではなく、相手の感情を収めるよう優しく接してください。
すべては無駄話
私たちは挨拶から始まって、寝るまで喋っています。
言葉の意味も分からず、幼いときから死ぬまで喋り続けているのです。
子どもたちは1つ2つ単語を覚えたら、そればかり喋ります。
ある子どもが、「またね」という言葉を覚えて、そればかり喋るんです。
こちらが話したら「またね」と言い、また何か別のことを話したら「またね」と言う。
意味は分かっていないんです。「大人が何か言ったら『またね』と言えばいい」と思っているのです。
とにかく人は死ぬまで喋り続けます。
自分が話すときにはチェックする
他人が話すことをすべて聞く必要があるでしょうか?
何かを伝える目的で話すこともありますが、それはわずかかです。
ほかはすべて無駄話だと言っても過言ではありません。
私たちは無駄話しかしていないのです。
ですから自分が話す場合には、何かメッセージを送信しているか、あるいはただうるさいだけなのか、をチェックした方がよいのです。
何もメッセージを送信していないならば、やめるべきです。
たとえば「今日は寒いですね」と言うでしょう。そう言ったら寒さがなくなるのでしょうか?
とにかく人の話すことは意味のない無駄話なんです。
動物は用事があって喋っています。動物はだいたい怯えたり興奮したりして声を出しています。群れで生活している鳥たちは、交尾する時期になるとものすごくうるさいんです。ギャーギャー喋るのです。それでもその場合は目的があって、仲間同士でコミュニケーションしているのです。
(続きます)
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スマナサーラ長老 法話「ブッダの「聞き上手」入門」
編集:出村佳子
根本仏教講義【目 次】
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生きとし生けるものが幸せでありますように