話を聞くときのチェック項目Ⅰ 論理的?「ブッダの聞き上手入門 ②-1」からの続き
2 証拠はありますか?
どの程度、信頼できるかをチェックします。
特にネットの場合はいい加減に発言するんです。証拠を出さなければいけないという義務は誰にもありません。ありもしないストーリーを作って発表するんです。
それで、読む人はネットにある情報はすべて正しいと思っているんです。
ネットでは、人の役に立つ大事な情報を掲載するサイトもあれば、ただ無駄話だけでフェイクニュースばかり流すサイトもあります。
区別するのは私たちの仕事です。
皆様、ウィキペディア(Wikipedia)を使っているでしょう。あれには責任がないんです。誰でも書けますから。ですからWikipedia に載っているから正しいとは言い難いんです。
むかしの百科事典だったらどうですか?
書く人は全責任を持たなくてはいけないんです。かなり大変です。百科事典に記事を1つ載せると、それだけでも博士論文くらいの内容があるのです。ときどき同じテーマで専門家が何人かで分けて書く場合もあります。
今はその文化が消えているんです。Wikipedia 文化になったんです。
Wikipedia の場合は、誰でも書けます。特別な桁違いの専門家しか書けないということはなくなったのです。その分、信頼性はありません。
そういうことで、話を聞いたらそちらに証拠があるかないか、どの程度、信頼できるか、ということを考えなくてはならないのです。
3 主観、感情、感想を話していますか?
主観や感情を喋る場合は、あまり中味がありません。
だから聞きやすいんです。「あ、そう」と、それで終わり。
相手が「私はこう思う」と言ったら、反論しないでください。だってその人にはそう思う自由がありますから。
あるいは、相手が精神的に落ち着くよう、楽しくなるように対応してください。
例えば怒っている人がいるなら、その人に「怒っていると損するのはあなたですよ。何か楽しいことでもしましょうよ」とか、「夜寝つくまで余計なことを考えないで難しい本でも読んだらどうですか」と、相手の気持ちが落ち着くように話すとよいのです。
そして、自分の心が悪に染まらないように気をつけます。
相手は感情で話していますから、相手の心が汚れています。その汚れが自分の心に移らないよう、気をつけなければならないのです。
(続きます)
生きとし生けるものが幸せでありますように
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スマナサーラ長老 法話「ブッダの「聞き上手」入門」
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編集:出村佳子
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