話を聞くときのチェック項目Ⅲ「ブッダの聞き上手入門 ②-3」からの続き
人生は他人の話を聴くところから出発
人生は他人の話を聴くところから出発です。これはもうどうしようもないんです。人の話を聴かなくてはいけないのです。
仏教の言葉に paratoghosa paccaya という言葉があります。これは「真理に目覚めるために、他人の話を聴くことが最初の原因になる」という意味です。
今の自分は、他人の話を聴いて作り上げた結果です。自作ではありません。結局のところ、人生とは他人の言葉によって組み立てられた他作なのです。
性格が悪い人は聞き上手ではない
善い人に囲まれていたら必ずその人も善い人になる、という保証はありません。
善い人に囲まれていても自分の性格が悪いならば、データを処理する仕方に問題があります。他人の話(データ)をどう処理するのかという、前回説明したチェックシートを使っていないのです。要するに、聴き上手ではないのです。
善い人になるためには、聴き上手であることが、どうしても必要です。これを仏教では簡単にまとめてsuvaco(スワチョー)と言っています。聴き上手になることです。立派な社会人になるためにも、仏道を完成するためにも、他人の話を聴かなくてはならないのです。
魚と海の例で言えば、魚は海で生活しなければなりません。人間の場合は言葉という海の中で泳がなければならないのです。魚は安心できませんよ。ちょっと間違うと食べられます。海は陸上よりも遥かに大きいし、気を付けなければなりません。
同じように、人間にはいくらでも言葉があります。あるわあるわ、きりがなくあるんです。言葉の海の中で溺れ死なないために、私たちは聴き上手にならなければいけないのです。
(続きます)
生きとし生けるものが幸せでありますように
・・・・・・・・・・
スマナサーラ長老 法話「ブッダの「聞き上手」入門」
編集:出村佳子
根本仏教講義【目 次】
・・・・・・・・・・