外に投影されたこころの世界
この点について、もう少し説明いたしましょう。
私たちは同じものを見ているのに、なぜ違う世界を感じるのでしょうか?
同じ音を聞いているのに、なぜ違う印象を受けるのでしょうか?
それは、私たちのこころや身体、知識、経験、価値観が違うからです。個々の感覚、経験、考え方によって、ものごとのとらえ方が異なるのです。
たとえばバラの花を見たとき、あなたはどんな気持ちになりますか?
嬉しいですか? 悲しいですか? 美しいと感じますか? イヤだと感じますか? それとも何も感じませんか?
人によってバラの花にたいする気持ちはさまざまです。それはバラの花が、あなたにとってどんな意味や価値観を持つかによって決まります。
バラの花が好きな人は、喜びを感じるかもしれません。嫌いな人は、イライラするかもしれません。トゲに刺さってケガをしたことがある人は、嫌悪感を持つかもしれません。バラの花に興味がない人は、何も感じないかもしれません。
このように、同じものを見ても感じ方やとらえ方、見方は人それぞれです。バラの花にたいする気持ちや感情が異なるからです。ですから同じものを見ても、それぞれ見方は違うのです。
第2章 なぜ、ありのままに見られないのか? より
正見〈正しい見方:Sammā Diṭṭhi〉
ありのままに見る智慧―八正道 ①
チャンディマ・ガンゴダウィラ長老【著】
生きとし生けるものが幸せでありますように