美意識過剰な女性へのアドバイス「仏教から見る女性⑤」から続きます。
感情的な女性へのアドバイス
愛する人を亡くし、心がひどく混乱して、悲しみに打ちひしがれていた女性たちに、ブッダは「死は避けられないものである」ことを説かれ、四聖諦を教えられました。
そして、彼女らがその意味を深く理解できるよう、さまざまなかたちで法を教えられたのです。
◎ヴィサーカー(Visakha)
孫娘を亡くし、心が激しく動揺していた愛情深い祖母ヴィサーカー(Visakha)に、ブッダはこのように説かれました。
「愛から悲しみが生まれ、愛から恐れが生まれる。
愛から解放された者には、悲しみも恐れもない」
◎キサーゴタミー(Kisagotami)
キサーゴタミー(Kisagotami)は、たったひとりの愛する息子を亡くしました。
ブッダに、「死んだ息子を生き返らせてほしい」と懇願しました。
ブッダは彼女に、「では、芥子を粒を数個もらってきなさい。ただし死者をだしていない家からですよ」と言いました。
芥子はどこの家にもあるのですが、これまでに一度も死者をだしたことのない家庭を見つけることはできません。
探し求めるうちにキサーゴーターミーは、
「死は、私の息子だけではなく、すべての生命に訪れるもの。
死を避けることは、誰にもできない」
と悟ったのです。
◎パターチャーラー(Patacara)
パターチャーラー(Patacara)もまた痛ましい境遇におかれた女性でした。
パターチャーラーは2人の子供、夫、父母、兄弟を、悲惨な状況下で一度に亡くしてしまいました。
悲しみのあまり気が狂い、ふらふらとさまよい歩いているとき、ブッダに出会いました。
ブッダはパターチャーラーにやさしくこう語られました。
「息子も、父親も、親族も、死を乗り越えることはできない。
死を乗り越えられない者を、頼りにすることはできない。
親類も頼りにできない。
この真理を理解する智慧のある者は、
すみやかに心を清らかにし、涅槃に至る」
この真理を聴いて「生」の本質に目覚めたパターチャーラーは、聖者の最初の位である預流果に達し、比丘尼サンガへ出家したのでした。
(続きます)
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出村佳子(訳)
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生きとし生けるものが幸せでありますように