実践と経験が深まれば深まるほど、ブッダが説いた「七覚支」――悟りに至るための7つの要素――を育てるよう、精進するようになるでしょう。この7つの要素は、順番に育っていきます。ひとつの要素が育つと、次の要素が育つのです。
まず、気づき(sati:念)を育てることから始めます。
気づきが育つと、択法(dhamma-vicaya)が育ちます。
(択法:明晰に見ること、分析すること)
択法が育つと、精進(viriya)が育ちます。
精進が育つと、喜び(pīti:喜)が育ちます。
喜びが育つと、軽安(passaddhi)が育ちます。
(軽安:心身が軽やかで安らかになること)
(軽安:心身が軽やかで安らかになること)
軽安が育つと、心が統一(samādhi:定)します。
心が統一すると、平静(upekkhā:捨)が育つのです。
正直に決意して、真摯に実践しているとき、これらのことを、ほんのわずかかもしれませんが、垣間見ることができるでしょう。
実践が深まれば深まるほど、悟りへの理解も深まっていくのです。
ただ、私たちにとっていま大切なことは、実践(気づきの実践)を始めること、そして心を清らかにするよう、精進を続けることです。
五蘊(色受想行識)の生と滅を、
瞬間瞬間、智慧で洞察するとき、
その人は喜悦を味わい、
不死(涅槃)を見る
~ダンマパダ374
グナラタナ長老
仏教Q&A『悟ることは不可能なこと?』翻訳:出村佳子