2019/01/04

善友①






A:回 答 ―― グナラタナ長老



それほど多くの知識がなくても、悟りを開くことはできます。私たちがすべきことは、自分自身を観察して、ヴィパッサナー(マインドフルネス)とサマーディを実践することです。


善友 グナラタナ著 出村佳子訳


学問的な知識がなくても、人は高い精神に達することができます。過去に悟りを開いた方はだれひとり、「悟り学」のような博士号は持っていなかったのだから――。彼らはただ、ダンマを学んだだけなのです。


では、どこで、どのように学んだのでしょうか?


自分の心と身体から学んだのです。私たちの心と身体は巨大な百科事典のようなものです。もしダンマを詳細に学びたければ、心と身体は十分なデータを与えてくれるでしょう。

とはいえ、それだけでは足りません。

「どのように自分の心と身体を観察するか」という指導がいくらか必要です。ガイドラインと、ガイドラインを与えてくれる人がいなければなりません。ここで、善友(Kalyana-mitta指導者が必要になるのです。
(続きます)

『善友①』グナラタナ長老
パティパダ―「仏教Q&A⑨」より
翻訳:出村佳子

2019/01/03

Happy New Year




新しい年が、みなさまにとって
幸せな年になりますように。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。


There is none of happiness
which is beyond the well-trained mind.



生きとし生けるものが幸せでありますように




2018/12/29

人生改良計画②-2



無駄な思考をやめる


無駄な思考をストップする方法をひとつご紹介いたしましょう。

「これを考えたら私のためになりますか、幸福になりますか」と、自分に問いかけることです。何か考え方を引きずって悩んだり、落ち込んだりするのではなく、こう考えてみてください。

この思考は、
・自分のためになるか、ならないか?
・役に立つか、立たないか?
・幸福になるか、ならないか?
・他人の役に立つか、迷惑をかけるか?

このように自分に問いかけると、思考はそこでストップするでしょう。



人生改良計画 スマナサーラ長老





思考をケチる



皆さんはお金にたいしてすごく厳密でしょう。10円でも安く売っているなら、1キロ先でも歩いて買いにいく人もいるほどです。

お金の場合はそんなに厳密になる必要はないのですが、思考にたいしては厳しくならなければなりません。なぜでしょうか? 

生き方はすべて思考から現れるからです。思考は一番ケチったほうがよいものです。

皆さんは考えることは無料だと思っているようですが、実はものすごくお金がかかっています。お金を無駄に使っているのは、思考のせいなのです。

たとえば日本の経済状態を見ると、表面的には景気が回復したと言っていますが、実際はそれほど回復していないと思います。かつては経済的に世界のトップにいたにもかかわらず、かなり落ちてしまったのはなぜでしょうか?

これは思考の問題です。思考でものすごい損をしています。無駄な思考ばかりで、役に立つ思考はほとんどありませんでしたし、今もありません。政治家や関係者の思考を観察してみると、国や国民のことよりも、自分の立場や権力のことを優先している人がほとんどです。ですから立ち直ることがむずかしいのです。

とにかく思考にはよく気をつけて、ケチってください。思考はすごく危険なものです。有益なことだけを考えて、「これで終わり」ときれいに止まってください。結論を出して、すぐに終わるのです。

考えているときも「いま何を考えていますか」と、自分の思考を観察してみてください。

また、考えるためにはいろいろなデータが必要ですから、データの範囲内で考えているかないかということを観察することも大切です。データからはみ出して考えると、苦しみが生まれますから。


思考はデータの範囲内で



テレビのワイドショーやニュースの解説を見ると、思考が間違っていて、好き勝手なことを言っている番組がいかに多いでしょうか。

本当はデータがないにもかかわらず、情報を捏造し、作り立てているということが、ちょっと観察すると見えてくるのです。

そういう自分勝手な偽りの情報がいったんマスコミで流れると、情報のない視聴者はその通りだと思ってしまいます。

そこで、情報を受けとる側も、ニュースで言ったからといってそのまま鵜呑みにしてはなりません。この人にはデータがあるのかないのか、データをどのように解説しているのか、と考えることも大切なのです。

私たちは無駄な思考をしているため、頭が混乱していて、正しく考えられない状態になっています。

私たちが24時間考えていることというのは、ほんとうは24時間かかりません。ほとんど2、3分で考えて終了することができます。

ですから、役に立たない思考はしませんと決めて、思考をケチったほうがよいのです。(続きます)
スマナサーラ長老

根本仏教講義『人生改良計画②-2』文責:出村佳子