欲と不満「問題をつくるのは誰か?④」からの続き
家族の問題
人がいつでも不満に思っている共通の問題のひとつに、結婚生活や家族についての問題があります。
既婚者だけでなく、未婚者も、「ひとりではさびしい」「パートナーがいない人生はつまらない」などと不満をこぼしています。
でも、結婚して何か問題にぶつかったときには、別の不平を言い始めるのです。
欲と不満「問題をつくるのは誰か?④」からの続き
人がいつでも不満に思っている共通の問題のひとつに、結婚生活や家族についての問題があります。
既婚者だけでなく、未婚者も、「ひとりではさびしい」「パートナーがいない人生はつまらない」などと不満をこぼしています。
でも、結婚して何か問題にぶつかったときには、別の不平を言い始めるのです。
●六方を拝むシンガーラ
シンガーラ(Singala)という名の出来の悪い若者がいました。
シンガーラの父親は亡くなる直前に息子のことを心配して、「六方を礼拝しなさい」と告げました。
シンガーラは父親の遺言を守ろうと決意しましたが、肝心の「六方とは何か」ということを知らなかったため、どうすればよいのか分からす、東西南北上下の六方をただ闇雲に拝みました。
シンガーラは「人に言われたからやる」という性格で、自分でものごとをしっかり理解しようとしません。
問題の原因がわからない「問題をつくるのは誰か?③」からの続き
現代人は、忙しい生活を送っているため、心を「善」のほうに育てたり、やすらぎを育てたりするための時間があまりありません。
食べ物や住居、衣服など、必要なものは十分得ているにもかかわらず、そのあいだもずっと、心の幸福を犠牲にしながら、「どうすればお金がもっと儲かるのか」「どうすればもっと楽しみが得られるのか」といったことを追い求めているのです。
そして何か問題にぶつかったときには、いらだち、不平不満を言い、苦しみを増大させます。
さらには「この問題が起きたは〇〇のせいだ」と言い、問題を他人のせいにするのです。
迷信に頼らず、忍耐と理性を育てる「問題をつくるのは誰か?②」からの続き
問題が起こったとき、「問題の原因がわからない」ことが多いものです。
なぜわからないのかというと、頭の中が自己中心的な欲や妄想でいっぱいになり、俗世間の暗い闇に覆われているからです。
何か不幸なことに遭うと、人は無知のせいで、間違った原因を考え、間違ったやり方で問題を解決しようとします。
自分が不幸になったのは、神や霊など外部の力によるものだと考え、祈祷したり、捧げ物をしたりして、問題を解決しようとするのです。
でも、そのようなことをしても問題は解決しません。
自分が不幸になっている原因は、自分にあるのですから。
多くの人は、「道徳や精神を育てることを通して自分の生き方を改善する努力」をしようとしません。
何か問題が起こったときには、祈ったり、宗教家に特別な儀式をしてもらえばいい、と間違った考えを持っているのです。
このような根拠のないことを信じているかぎり、「正しい見方でものごとを理解する智恵」を身につけることはできないでしょう。
(続きます)
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出村佳子〔訳〕
"Who creates problems?" by Ven. Dr. K. Sri Dhammananda Thero
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1日にして、生まれたばかりの赤ん坊と幼い子供、旦那、父母、兄弟を亡くしたパターチャーラー(Patacara)は、ショックのあまり頭が狂ってしまい、服が脱げ落ちたことにも気づかずに、裸のまま町をふらふらさまよい歩いていました。
そのとき、お釈迦さまに出会いました。
どうすれば問題を乗り越えられるのか?「問題をつくるのは誰か?①」からの続き
それを飲むと、しばらくのあいだは痛みを感じなくなるでしょう。
でも、それは完全に治った、ということではありません。
鎮痛剤の効き目が切れたとき、痛みはまた戻ってくるのです。
たとえば、身体に大きな傷を負ったとしましょう。
いろいろな薬を塗って、痛みがどうにかおさまったとします。
医者に「今、どうですか?」と聞かれると、「よくなりました」と言うでしょう。
でも、この「よくなった」とはどのような意味でしょうか?
どんな感覚でしょうか?
何か証明できるものはあるのでしょうか?
ここで「よくなった」というのは、「痛みがない」という意味です。
とりあえず痛みがないとき、周りの人に「よくなった」とか「気分がいい」などと言うのです。
それから「よくなった」と言うとき、これは「一時的だ」ということを忘れてはなりません。
痛みがまた生じたり、あるいは他の感覚に置き換わったいします。
これが「生」の本質なのです。
お釈迦様は「永続する幸せ」を得る方法を教えられました。
それは、問題や苦しみの主要な原因を根元から取り除くことです。
一時的に抑えることではありません。
ときどき、お釈迦様の教えを実践するのはむずかしいと言う人もいます。
それは、苦しみをすぐに取り除くことができないからです。
お釈迦様は、こう教えられました。
「苦しみの原因は心の非常に深いところにまで根付いているため、
強力な手段を使って苦しみの原因をしっかりと根絶することが必要である。
根絶したなら、苦しみは二度と生じない」
混乱のもつれをほどくにはどうすればよいのでしょうか、という神の問いにたいして、お釈迦様はこのように答えられました。
「戒律(sīla)をよく確立した賢者は、心と智慧(paññā)を育てる。
そのように精進し、智慧のある人が、混乱のもつれをほどくのである」
精進と智慧のある人は、存在の本質を理解して、戒律(sīla)を育てます。
戒律(sīla)とは、道徳にもとづいて感覚や言葉、行動を制御することです。
精進と智慧のある人は、問題にどのように向き合い、問題をどのように乗り越えるのか、ということを知っているのです。
お釈迦様は、「問題を解決したいなら、善良になり、精進し、理性をもって行動するように」と教えられました。
問題を根本的に解決できる方法は、ほかにないのです。
問題を抱えているとき、私たちはたいてい誰かのところへ行って、あれこれ相談したりするものです。
相談相手の中には、このようなことを言う人もいるでしょう。
「神社やお寺、礼拝所へ行き、神仏にお祈りしたり、呪文やマントラを唱えなさい」と。
お釈迦様は、これとは正反対ことをすすめました。
「問題が起こったとき、みずから直接問題にアプローチし、問題を分析して、原因がどこにあるのかを発見してください」と。
ここで厄介なのは、私たちが問題にぶつかったときにはいつでも、恐怖に襲われるか、無知になるか、妄想するか、迷いに陥ってしまうということです。
それで、自分では問題を解決することができず、他人のところへ行くのです。
たとえば、ビジネスで失敗したとしましょう。そうすると、幸運が得られるよう、成功できるよう、何か霊的(神秘的)な力に頼ろうとします。
でも、そうしたものはほとんどが迷信です。
いわゆる占い師や預言者と呼ばれる人のなかには、弱い人の無知を悪用して、「あなたに邪悪な霊が憑いてますよ。だから運が悪いんです」などと言って騙す人がいます。
お釈迦様はこのように教えられています。
「もし成功したいなら、迷信に頼らず、忍耐と理解を育ててください。
無意味なことに時間やお金を浪費することなく、理性的に生きてください」
(続きます)
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出村佳子〔訳〕
"Who creates problems?" by Ven. Dr. K. Sri Dhammananda Thero
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人は、複雑な問題をたくさん抱えています。
ある神がお釈迦様のところに行き、どうすれば問題を乗り越えられるのかということについて次のように尋ねました。
「世尊よ、内の混乱と外の混乱についてお説きください。人は混乱に絡まれています。混乱のもつれを解くのは誰でしょうか、お聞かせください」
4.欲と不満
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出村佳子〔訳〕
"Who creates problems?" by Ven. Dr. K. Sri Dhammananda Thero
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両親は大変な金持ちで、この一人息子を宝物のようにかわいがり、草履は金で作ったものしか履かせないほど贅沢三昧で育てました。
しかし、そんな両親の思いとは裏腹に、ヤサの心は満たされませんでした。
ヤサは、
「こんな生き方はまるで刑務所にいるようなものだ、これって人生か」
と考えて、ある夜、こっそりと家を出たのです。
●「芸は天国への道」と信じていた芸人
「芸は天国への道」と信じていた芸人がいました。
彼は芸が上手で、大勢の人が彼の芸を見て楽しんでいました。
彼はいつも真剣で「私の芸を見て大勢の人が笑い、楽しみ、喜びを感じている。だから私は頑張らなくてはいけない」と考えていました。
そして「芸で人々を笑わせ、楽しませる人は、死後、天国に行く」と信じていたのです。